抜けた歯を放置している
TROUBLE 3
奥歯、特に下の奥歯が抜けた状態になると噛み合っていた上の奥歯が、空いたスペースに挺出(ていしゅつ)、つまり下がってくることがあります。
上の奥歯が抜けると、下の奥歯が上に伸びるように出ることもあります。
抜けたらすぐになるわけではなく、何年かかけてゆっくりと挺出しますが、そうなると入れ歯の使用や、ブリッジ治療、インプラント治療などの治療ができなくなってしまいます。
空いたスペースへ向かうように、両サイドの歯が傾いて倒れてきたり、他の歯が寄ってくることがあります。
空いたスペースが大きければ大きいほど、その他の歯への影響も大きく、崩壊するように歯が倒れることもあります。
噛み合っていた歯が挺出したり、他の歯が斜めに倒れてきたりすることで、噛み合わせが悪くなることも考えられます。
一度噛み合わせが悪くなると、矯正治療を行わない限りは直せません。
奥歯を失い、それによって噛み合わせが悪くなると、普段の生活にも影響が出てしまうのです。
歯を支えていた歯槽骨という骨が、歯を失ってしまったことで機能を失い、骨量が少なくなってしまうため、歯茎が下がったように見えるのです。
歯槽骨が少なくなった状態ではすぐにインプラント体を埋めることができなくなります。
歯を失った状態で放置していくことは、その後治療しようと思った時の障害ともなりうるのです。
発音がしにくくなるという、発声の機能にも影響が出ます。
奥歯がなくなることで、隙間から空気が漏れるため、「き」「し」「ち」などの音が発音しにくくのなるのです。
もごもごとしたしゃべり方になることもあります。
奥歯は前歯に比べて見えにくい場所にありますが、大きく口を開けて笑ったり、食べ物を食べようとする時、近くにいる人には意外と見えます。
歯がない、というのは印象としても残りやすいものです。
そのため、奥歯が見えてしまうことを気にして、人としゃべる時に気を使い疲れてしまい、コミュニケーションをとるのが億劫になる、という人もいます。
奥歯は顔の輪郭にも影響することがあります。
奥歯がない状態が続くと、少しずつ頬のラインが内側に寄っていくことがあり、輪郭が細くなることがあります。
小顔になるというよりは、頬がこけて見えます。
肌にも皺も寄りやすくなり、どうしても老けた印象になりがちです。
奥歯というのは食べ物を噛む上で一番重要な歯です。
食べる時には上下の奥歯で食べ物を噛み砕き、飲み込みます。
しかし、その奥歯がないと食べ物を十分に噛み砕くことができません。
その結果、消化器官である胃腸に負担をかけることになり、体調が悪くなってしまうことも。
また、咀嚼回数が少ないと唾液の分泌にも影響が出ます。
唾液は口内の自浄作用の役割も果たしていますが、分泌量が少ないと、口内環境が悪化し、歯周病や虫歯の原因にもなり得ます。
消化器官に悪影響があったり、唾液の分泌量が減少すると、口臭の悪化に繋がることもあります。
口臭の原因は、体調の悪化によるもの、また唾液による口内環境の悪化によるものなどがありますが、奥歯がない場合はどちらの原因にも繋がります。
奥歯がなくなったことで噛み合わせに影響が出始めると、体全体の不調に繋がりやすいです。
特に左右どちらか片方の奥歯だけないという状態であれば、左右の噛み合わせのバランスが崩れ、徐々に体全体のバランスへと影響します。
その結果、肩こりや頭痛、腰痛に悩まされる場合も。
ひどくなると、眩暈や吐き気に襲われる人もいるようです。
抜けた歯を放置してしまった場合の治療方法には主にインプラント・ブリッジ・入れ歯という治療方法の選択ができます。
抜けてしまった本数、骨・歯肉の状態に応じて治療方法の選択は患者様によって異なってきます。
また、それぞれの治療方法にメリット・デメリットがあります。
患者様のご要望および可能な治療方法をご説明しながら、ライフスタイルを考慮し、治療を選択していただけるようにいたします。
インプラント | ブリッジ | 入れ歯 |
|
咬合力・咀嚼能率 | 天然歯の100~90% | 80~60% | 60~40% |
歯を削る | なし | あり | 場合によって |
違和感 | なし | なし | あり |
咬合力の負担 | インプラントにのみ負担 | 前後の歯に負担 | 金具をかけた歯に負担 |
外科処置 | あり | なし | なし |
審美性 | 優れている | 被せ物による | 悪い |
治療的制約 | 骨の状態や歯の欠損数に制約を受ける | 歯の欠損数や欠損状態に制限を受ける | 制限なし |
治療期間 | 最短で2~3ヶ月 | 最短で1~3週間 | 最短で1~3週間 |
費用 | 保険適用外 | 保険適用内外 選択可能 | 保険適用内外 選択可能 |